ホームシアターブログ

プロジェクターとスクリーンで自宅で映画を楽しんでいます。

🎬 グラントリノ

PVアクセスランキング にほんブログ村

f:id:AZM57:20200814055431j:plain

2008年 ワーナーブラザーズ

監督、主演:クリント・イーストウッド

【あらすじ】

妻に先立たれ、一人暮らしの頑固な老人ウォルト。人に心を許さず、無礼な若者たちを罵り、自宅の芝生に一歩でも侵入されれば、ライフルを突きつける。そんな彼に、息子たちも寄り付こうとしない。学校にも行かず、仕事もなく、自分の進むべき道が分からない少年タオ。彼には手本となる父親がいない。二人は隣同士だが、挨拶を交わすことすらなかった。ある日、ウォルトが何より大切にしているヴィンテージ・カー<グラン・トリノ>を、タオが盗もうとするまでは。

 

戦争、移民問題、民族問題、人種差別、高齢化社会、家族、キリスト教、米国自動車産業の栄光、ジェンダー、労働、これら現在のアメリカの抱える問題が驚くほど詰まっていながら、説教臭さは全くありません。
あくまで人間くさく、泥臭く、社会の病理を描いています。主人公は妻に先立たれ、家族からは老人ホームへの入居をすすめられ激怒する頑固おやじです。この頑固な老人をクリント・イーストウッドは見事なまでに演じています。そんな頑固な主人公の心をこじ開けたのは隣に越してきたアジアからの移民家族の子供たち。その遠慮のない明け透けな接し方に戸惑いながらも徐々に打ち解けていく姿はとてもうれしそうで、きっと幸せな頃の自分の家族と重ね合わせてたのかもしれません。クリストファー・カーリー演じる若い神父の存在が、ウォルトと対照的な「世間一般的な良心」として存在しているところが物語に深みを出しています。若き神父が、信心深さだけでは解決できない場面に直面し、主人公に寄りそおうとする姿に好感が持てました。年を重ねる毎に味わい深くなる作品ではないでしょうか。アカデミー賞の絡まなかったのが不思議なくらいの作品です。