2018年 東京テアトル
監督:大森立嗣
【あらすじ】
おっちょこちょいな典子は従姉妹の美智子と「タダモノじゃない」と噂される武田先生の下でお茶を習うことに。意味の分からない所作にふたりは戸惑うが…。
書道の先生からすすめていただいた作品です。茶道の所作や粋といわれるものを見事に樹木希林さんが演じておられます。表千家の先生としての威厳と同時にユーモアが絶妙のバランスで表現されていて素晴らしいです。
不遜ではありますが「集大成」の演技と申し上げて良いのではないでしょうか。茶道における所作についても、かなり詳細に描写されています。「重たいものは軽々と、軽いものは重々しく持ちます」動きの美しさと相手への気遣い、所作とはそういうものだったんですね。勉強になりました。
「(茶室に)入る時は左足から、敷居と畳の縁は絶対踏まない様に」「敷居を跨ぐ」とはよく言いますが、踏んでしまっては跨げませんものね。敷居には「その家の象徴」「結界」としての意味合いがあるのだそうで、大変、勉強になりました。畳のお家が少なくなった昨今、改めて日本の伝統文化の粋を学んだような気持ちになりました。書の道を学んでいますので所作、姿勢、動きどれをとっても通じるものがあります。茶道もやはり基本は同じなのかと少しだけわかったような気持ちになりました。人の心の機微を感じることができない人には、退屈な映画と思われるかもしれないけれど・・・波乱万丈のストーリーや派手なアクションなんてこれっぽっちも無くても、名作は撮れるのだとしみじみ思った作品でした。