2016年 スターサンズ
監督：岸善幸
【あらすじ】
大学院で哲学を学ぶ平凡な学生、珠。同棲しているゲームデザイナーの恋人、卓也との日々は、穏やかなものだった。ところがそんな毎日は、担当教授から修士論文の題材に“哲学的尾行"の実践を持ちかけられたことで一変する。それは、無作為に選んだ対象を追ういわば“理由なき尾行"。半信半疑ではじめた、隣人、石坂への尾行だったが、彼の秘密が明らかになるにつれ、珠は異常なほどの胸の高鳴りを感じ、やがてその禁断の行為にのめりこんでいく―。
門脇麦ちゃん演じる珠ちゃん、アラレちゃんめがねで化粧っ気のない地味でおとなしい感じの子なんですが、ちゃんと彼氏いて、しかも同棲してる。見かけのイメージとは全然違うんですが・・・おっと、これが罠なのかも。見かけと中身は全然違う。"ひと"の奥深さを改めて認識させてくれる、人の表裏を見事に"感じさせてくれる"佳作です。麦ちゃんの抑えながらも、もがいている演技、それと実にリアルな人物をまさに等身大で演じた長谷川博巳の緩急つけた演技、自分の存在意義を確かめたかった教授のリリーフランキーの静かな演技、見事な調和で、どの人物にもドラマがあり、話があり、裏がある。今回は菅田将暉君はおとなしめでした。そんな彼らすべてに感情移入できるくらい、なんか深い。尾行ということをとおして、不思議な共感と清々しさを体感した面白い作品でした。また埋もれている作品って意外に多いのかなって思う一作でした。
