1980年 東映
監督:森谷司郎
鑑賞:NHKBSプレミアム
昭和史の起点となった五・一五事件から二・二六事件までの風雲急を告げる時を背景に、寡黙な青年将校とその妻の生きざまと愛を描いた作品。高倉健と吉永小百合が東映で初共演した作品です。この作品から健さんは東映で映画を撮ったのは「鉄道員(ポッポや)」だけになります。健さんの寡黙さはいつもながらですが、吉永小百合の透明感といいますが美しさはこの時期頂点を極めているがのごとく美しいものがありました。ちょっと遊女は違和感ありましたが。脇を固める俳優さんも豪華です。田中邦衛、志村喬、田村高廣、佐藤慶、小池朝雄、それに桜田淳子まるで東宝の映画を見ているようでした。ただ、映画としては、予め決められた結末に直線的に向かっていくだけなので、ドラマとしての盛り上がりに欠けたきらいがありました。これが史実に基づいた歴史映画に難しいところですが、悲恋のドラマとしてももう一工夫ほしいとろでした。ちなみに、最後に高倉健は処刑されるのですが、健さんの死ぬシーンは珍しいもしれません。昭和のはじめの歴史を知るのと、健さん吉永小百合の共演としても見ごたえのある作品でした。