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プロジェクターとスクリーンで自宅で映画を楽しんでいます。

🎬 日本の黒い夏【冤enzai罪】

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2001年 日活

監督:熊井啓

出演:中井貴一、寺尾聡、北村有起哉

1994年6月27日に長野県松本市北深志地区で発生した松本サリン事件の第一通報者である河野義行さんに対する「長野県警察の強引な任意同行」と「報道機関の誤報による過熱取材」の実態を描いた作品です。間違った世論を作っていく警察とマスコミ。それを真に受けて迷惑電話や投石を行う一般人。それに対して視聴率を気にしつつも、真実を見失わなかった地方テレビ局という描き方をしています。終盤カルト教団による犯行だと発表があったシーンのBGMは感動を促すような曲調であったり、河野さんのインタビュー映像を見て涙を流す記者の姿しかり、我々の報道が正しかったみたいな立ち位置は私は何か違ってるような感じがしました。あの時は全てのマスメディアが河野さんをあたかも犯人のような扱いに終始していたように思います。このように地元のテレビ局が別の視点で報道されていたことは知らなかったですが、あの時点でこういう報道をされていたのならもう少し放送内容などを見せたり深掘りしてほしかった感があります。地下鉄サリン事件の報道映像も使われたりしていますが、もう少しドキュメンタリー的な描き方をした方が見る側にとっては説得力があるような気がします。また、映画では「カルト集団」と曖昧な呼称だけですが、あの教団について何を遠慮しているのか、そのあたりは社会派熊井啓監督らしくない感が否めませんでした。追究不足の感がある映画でしたが、この冤罪事件を風化させてはならないと思いは伝わってきました。タイトルですが「冤罪、日本の黒い夏」のほうが迫力あると思うけどいかがでしょうか。寺尾聡の河野さん役はうまくはまっていたように思います。考えさせられる一本でした。