1962年 松竹
監督:小津安二郎
出演:笠智衆、岩下志麻、佐田啓二、岡田茉莉子、東野英治郎、杉村春子
鑑賞:BS松竹東急
小津安二郎の遺作となった最後の監督作品です。昭和30年代、男やもめが24の娘と高校生の息子と暮らす家が舞台。娘を嫁に出すまでを描く物語となっています。。今だったら完全アウトのデリカシーのない会話が妙に微笑ましかったです。話している人を真正面に撮る素朴な撮影、時々挿入される引きの画や独特の間が味わい深く、少ない動きにも関わらず退屈どころか目を離す暇を与えません。当時の冷蔵庫や掃除機の話題がでてくるのもとても興味深く見させていただきました。それと路子演じる岩下志麻のあまりの美しさに画面に釘付けになりました。極妻とは全然違う可愛さがありました。高度成長期の入口でありながら、戦後の名残を残す東京の街並みの記録映像としても、とっても楽しめました。輸入物のカナダドライのジンジャーエールやトンカツ屋の場面で店員さんを呼ぶブザーがあの時代には既にあったことは素直に驚きでした。それに和服がしっかりまだ普段の服としても残っている時代ですね。そういえばおばあちゃんも和服でした。この作品が公開された年に自分が生まれました。こういう時代だったんだと思える貴重な1本だと思います。