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プロジェクターとスクリーンで自宅で映画を楽しんでいます。

🎬 助太刀屋助六

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2002年 東宝

監督:岡本喜八

出演:真田広之, 鈴木京香, 村田雄浩, 仲代達矢小林桂樹岸田今日子岸部一徳

【あらすじ】

仇討ちの助太刀をしながら旅を続ける天涯孤独の助六が、7年振りに里帰する。そこで彼は幼なじみに会い、もうすぐ仇討ちがあることを知る。しかしその仇とは助六の生き別れた父だった…。

 

 終始ハイテンションな真田広之が、画面狭しと飛び、跳ね、駆け回り、この時代劇アクション・コメディーを強引なまでに引きずり回します。90分弱といったコンパクトな上映時間に、岡本監督得意の軽快な演出と、芸達者な俳優陣の、ひとくせありそうな演技が詰まっています。冒頭の仇討ちシーンにちらと顔を出す、怪優・天本英世の不気味さが目を引きます。死神博士の最後の岡本作品出演となってしまったようです。それと時代劇でありながら全編に山下洋輔のピアノが入ります。これがまた意外にマッチしているのが不思議なくらいいんです。 普通の時代劇とは思わず、ちょっと違う感覚の時代劇(エンターテイメント)として楽しめる作品でした。

 

🎬 飢餓海峡

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1965年 東映

監督:内田吐夢

出演:三国連太郎, 高倉健, 伴淳三郎, 左幸子 

【あらすじ】

終戦間もない頃、台風により転覆した青函連絡船の遭難者の中に、他殺死体が紛れ込んでいた、だが収容した遺体は乗客名簿より2名多く…。

 

水上勉推理小説飢餓海峡」を完全映画化したサスペンス映画です。モノクロ作品ですが、天井や地平からの大胆なカメラアングルや心理の影を描くために試された画像演出には正直驚きましたし、俳優陣の演技が緻密かつ濃厚なので自然とこのモノクロ画面に引き込まれます。特に三國連太郎伴淳三郎左幸子は怪演とも言える喜怒哀楽と重苦しさで、高倉健すらまるで若造に見える程だから凄いです。今のサスペンス映画も見ごたえがありますが、50年以上たった今でもモノクロでここまで見せる作品も凄いなぁって思います。今は亡き俳優陣ですが懐かしい思いとともに重厚な演技を見せていただきました。

🎬 スケアクロウ

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1973年 ワーナーブラザース

監督:ジェリー・シャッツバーグ

出演:ジーン・ハックマン, アル・パチーノ, ドロシー・トリスタン

【あらすじ】

刑期を終えて出所したマックスには、故郷のピッツバーグで洗車業を始める夢がある。一方、元船員のライオンは 5年前に妊娠中の妻を残して出たデトロイトに戻る途中であった。二人はカリフォルニアの乾いたハイウェイで出会い、奇妙な旅が始まった。だがそれはまた、社会から落ちこぼれた男たちの友情の始まりでもあった。

 

若かりしジーン・ハックマンアル・パチーノの凸凹コンビが主役の映画です。
喧嘩っ早い大男とおちゃらけて人を笑わせるのが好きな小男の二人が、商売を始めるため、また、会っていない子供に会うために旅をするストーリーです。
時には漫才コンビのようにも見える性格の違う二人が、二人共心にもやもやするものを抱え、虚勢を張って生きている不器用な男二人の友情のお話です。SCARE(驚かす)CROW(カラス)= 案山子、この作品のタイトルのスケアクロウは「世間」のような気がします。日本の「幸せの黄色いハンカチ」とは全く違ったアメリカのロードムービーの傑作だと思います・

 

 

 

🎬 永い言い訳

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2016年 アスミックエース

監督、原作:西川美和

出演:本木雅弘, 竹原ピストル, 藤田健心, 白鳥玉季, 堀内敬子

【あらすじ】

人気作家の津村啓こと衣笠幸夫は、突然の事故で妻を失ってしまう。しかし夫婦に愛情はなく、幸夫は悲しむことができずにいた。そんなある日、彼は同じ事故で亡くなった妻の親友の遺族と出会う。

 

西川美和監督作品はこれで4本目を見ることになります。最近読売新聞の新作のインタビューも掲載されていて、目の離せない女性の監督さんですね。濡れ場シーンなんかを見ていますと女性特有の撮り方だなぁって感心するところがあります。「ゆれる」の西川美和監督による、パートナー喪失からの心の再生の物語です。今回は、ミステリー的要素は無く、純粋にパートナーの死に主人公が向き合い、他の一家との交流を通して自己回復・成長を成し遂げる過程を描いていきます。本木雅弘演じる主人公は、突然の事故で妻が凄惨な死を遂げたまさにそのとき、自宅で愛人との情事に耽っていた。世間的には悲劇の男として振る舞うものの、実のところ“悲しみ”を感じられない辛さ、未熟すぎて自身への言い訳すらできないことへの苛立ち。胸の内で入り乱れる憔悴、諦観、激昂などなど。
演出意図の見えやすい『ディア・ドクター』や『ゆれる』よりも、“正解の見えない”こちらのほうが西川監督の本領、描きたかった世界なのかもしれませんね。これまで観た作品とは全く違った作り方のように思いました。 新作が楽しみです。

🎬 人魚の眠る家

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2018年 松竹

監督:堤幸彦  原作:東野圭吾

出演: 篠原涼子, 西島秀俊, 坂口健太郎, 川栄李奈, 山口紗弥加 

【あらすじ】

離婚寸前の夫婦・薫子と和昌の下に、娘がプールで溺れて意識不明になったという悲報が届く。脳死状態になった娘を前にふたりは究極の選択を迫られ、ある決断を下す。

 

それぞれの立場にたって考えさせられるテーマでした。また、老若男女でも感じかたは変わるのではないでしょうか。人間の尊厳や存在意義に対する自分の感情が場面場面により変化してしまい、この少女が自分の子供だったら、親だったら、兄弟だったら、孫だったらと色々想像し考えました。重たいテーマでしたが、共感できる表現が多く内容に吸い込まれました。確かに現実的に見れば、裕福ではない家庭が同じ状況になった場合、在宅介護の維持費、労力や時間をかけて生かすことは厳しいでしょう。
ただ、この作品で伝えたかったことは母親の愛情や家族の絆というものだったのではないでしょうか。それと最後に松坂慶子のおばあちゃん役は悲しい立場の役で、それを観ていると自分も年をとったんだと感じるよころもありました。

 

🎬 レナードの朝

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1990年 パラマウント

監督:ペニー・マーシャル

出演:ロバート・デ・ニーロロビン・ウィリアムス

【あらすじ】

1920年代に流行した嗜眠性脳炎によって、30年もの間、半昏睡状態のレナードは、意識はあっても話すことも身動きもできない。彼に強い関心を抱いた新任ドクターのセイヤーは、レナードに試験的な新薬を投与し、機能回復を試みる。そしてある朝、レナードは奇跡的な“目覚め"を迎えた・・・。

 

難病患者が目覚める奇跡、目覚めた後の喜びや葛藤、その後元に戻ってしまう悲劇、
患者、医者、患者の家族のその時々心情がすごく伝わってきます。患者を演じたデ・ニーロの演技の凄まじさは狂気に近いものがありました。難病の恐ろしさがデ・ニーロの迫真の演技で生々しく伝わってきて、その凄さは身震いがするほどでした。彼以外に誰がこのような演技ができるだろう。なかでも、病状が悪化し再び麻痺状態に戻りつつあるレナードが惨めな姿を見せまいとポーラに別れを告げるシーン。それでもポーラはレナードの手を強く離さず、ダンスを一緒に踊る。これは人と人が心を通わす温かみは薬よりも見事な良薬なんだと知らせる名場面でした。デ・ニーロの火のような熱演に対し、ロビン・ウィリアムスの医師は誠実と慈愛に充ちあふれています。その優しい温もりは、映画を見終えた後もずっと長く心に残ります。素晴らしいとしか言いようがありません。若きお二人の見事な演技を楽しめる名作だと思います。

 

🎬 真夏の方程式

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2013年 東宝

監督:西谷弘

出演:福山雅治, 吉高由里子, 前田吟, 杏 、風吹ジュン

【あらすじ】

手付かずの美しい海が残る波璃ヶ浦。開発計画の説明会にアドバイザーとして招かれた天才物理学者・湯川は、宿泊先の旅館でひとりの少年・恭平と出会う。その翌朝、堤防下の岩場で男性の変死体が発見され…。

 

東野圭吾原作のガリレオシリーズの第2弾です。「疾風ロンド」と同じ作者かと思わせるくらいよくできたサスペンスでした。福山の湯川先生もぴったりでこの役が彼には一番にあっているんじゃないかと思わせるほど、謎解きの雰囲気はインテリの学者そのものでした。前田吟もいぶし銀で上手かったし風吹ジュンがなんともいえず薄幸の女をうまく演じていましたね。子役もうまいし、それと杏のスキンダイビングは見事でした。泳ぎ方も綺麗し呼吸の仕方もばっちりですしちょっと唸ってしまいましたよ。内容は昔から変わらない美しい自然の前で、昔も今も人の営みは続いていく。逃がれられない人間の責任と哀しみの連鎖を受け止める覚悟を問うこの作品は、単なる推理ドラマの枠を越えた作品に思えました。フジテレビが制作に関わっているので、日本アカデミー賞にはノミネートされなんいでしょうね。賞をとってもおかしくない作品でした。