2006年 シネカノン
監督：西川美和
出演：オダギリジョー, 香川照之, 伊武雅刀, 新井浩文, 真木よう子
【あらすじ】
久しぶりに帰郷した写真家の猛は、兄と幼馴染みの智恵子と共に近所の渓谷へ向かう。だがそこで、智恵子が突如転落死してしまい…。
都会に出た者と、田舎に残る者。性格も違う兄と弟。この作品は対照的な二人の立場を描きだします。微妙なセリフで男ふたりの複雑な内面を表現し、背中の演技で心情を伝える香川照之もすばらしいが、兄に対する負い目と苛立ちの両方をみせるオダギリジョーも、名演技でした。あのとき吊り橋で、何が起こったのか？ その真実も含め、さまざまな余韻を残すラストシーンは特に印象的で、お互い兄弟の表情が目に焼き付いて離れません。兄弟を持つ人ならば多かれ少なかれ、ここに描かれる確執に共感してしまうのではないでしょうか。家族の関係も、そして人生も、一筋縄ではいかないのだと教えてくれるとても考えさせる邦画らしい作品でした。しかし香川照之っていう役者さんは上手いですね。
