2010年 東映
監督:成島出
鑑賞:NHKBSプライム
原作(ベストセラー)・ドラマともに知らず、新鮮に見られました。金も名誉も関係なく、ただ目の前の患者を救うことだけを考える医師の物語です。緊迫した手術場面の描写も多く、俳優さんたちの努力が見える作品に仕上がっていました。日本独特の倫理観から、脳死=人の死として受け入れられず、日本では腎臓以外の臓器移植自体がなかなか広まらない状況が今でも続いている問題だと思います。この映画の舞台になっている昭和、法整備も出来ておらず移植をした医者が殺人罪に問われる事例もあったので、医療界全体が臓器移植に消極的だった。その時代の空気みたいなものを知らないと、なかなか理解しにくい内容になっていると思います。主人公堤真一の医師がとてもかっこよくきまっているのを対極にして生瀬勝久が演じる消極的で自己保身欲が強いのを上手く演じていたのが印象的でした。医学会はサラリーマンの世界のより狭い世界なのを感じさせる1本でした。