2018年 キノフィルムズ
監督:白石一彌
【あらすじ】
毎日ふらふらと無為に過ごしていた郁男は、恋人の亜弓とその娘・美波と共に彼女の故郷、石巻で再出発するが、小さな綻びが積み重なり、やがて取り返しのつかないことが起きてしまう―。ある夜、亜弓から激しく罵られた郁男は、亜弓を車から下ろしてしまう。そのあと、亜弓は何者かに殺害された。恋人を殺された挙句、同僚からも疑われる郁男。次々と襲い掛かる絶望的な状況から、郁男は次第に自暴自棄になっていく。
『孤狼の血』の白石和彌監督、香取慎吾主演によるヒューマンサスペンス。「誰が殺したのか?なぜ殺したのか?」というキャッチフレーズ、これはちょっと違うとと思いました。この映画は変わりたくても変わられない、クズのような生活から抜け出せないダメ男の再生についての話がメインであり、殺人事件の犯人や動機はまったく描かれていません。要するにこの映画はヒューマン映画であり、サスペンスではありません。にも関わらず、サスペンス臭を漂わせるこのキャッチフレーズはいかがなものか…。なお、ヒューマン映画としては完成度が高い印象があります。それに役者・慎吾くんが観れます。この演技は凄いものがありました。ギャンブル依存症の役、かなりの汚れ役で驚きました。老いた父親役、リリーフランキー、脇役の方たちも秀逸です。全体的に暗くて重いトーンですが、脇役の役者さんも(知らない役者さんが何人も!)素晴らしかったことと、エンドロールもすごく好いので、最後まで必見です。なんせこのキャッチコピーが残念ですね。