1989年 共同
監督:神山征二郎
観賞:Amazonプライム
広島に原子爆弾投下により、原爆症を発症する少女とその家族学校を描いた作品です。原爆の子の像のモデルとなった少女の半生を描いたもので、そのあまりにも短い時間が美しくも儚いです。原爆症を取り扱っているが生々しい痛みではなく、それはゆっくりと消えていく泡のような作品となっていました。友達と過ごした時間、楽しかった修学旅行、頑張った運動会、背伸びしたおめかし。そんな当たり前ででもとても大切な瞬間を、邦画らしく静かで丁寧に描いていました。両親役には前田吟と倍賞千恵子とこれはもう盤石見ていて安心です。娘の余命を告げられる悲しみが深く、特に倍賞千恵子の演技が素晴らしいです。訪れる未来に覚悟を決め、温かく見守るその表情には胸が熱くなります。とても静かででも改めて戦争という闇を知る作品でした。この戦争責任は誰にあるのでしょうか。戦争による悲劇を描いた1本です。