1983年
監督:神山征二郎
【あらすじ】
ダム建設のために水中に没していく小さな村。その村で最後の夏を過ごした少年の記憶。一つの村が無くなる時、一つの命が消える…。あの少年の日とともに、僕の村は消えていった。
加藤嘉さんが日本アカデミー賞をとられた作品です。砂の器の演技がとても強烈な印象が残っている俳優さんで、主演されている作品を探しているとこの作品に出会えました。ぼけ老人とその息子夫婦の暮らしを描いていますが、なんといっても加藤嘉の目の中の宿る狂気といいますか、それはもう見事なぼけぶりでした。息子役の長門裕之の怒りの演技も悲しみの演技もナチュラルで上手かったです。ラストは子どもたちの合唱で「ふるさと」を歌うのですが、思わず目頭が熱くなってきました。うさぎおいしかの山、小ぶな釣りしかの川・・・♪ やはり日本のふるさとを思う名曲だと思います。まだまだ世の中はデジタル化されていない昭和58年の作品です。家並、町、森、小川、景色も美しく、人間関係も懐かしい。都会に住む自分には少し羨ましくなる、もう二度と取り戻せない美しいものがいっぱい詰まっている映画です。