1953年 松竹
監督:小津安二郎
【あらすじ】
尾道に住む老夫婦、周吉ととみが東京で暮らす子供達を訪れるために上京する。子供達は久しぶりの再会で2人を歓迎するが、それぞれ家庭の都合もあり、構ってばかりはいられない。結局、戦死した次男の嫁、紀子が2人の世話をすることになる。老夫婦は子供達がすっかり変わってしまったことに気づくのであった。
心に残るシーンやセリフは沢山ありましたが、特に笠智衆さんの最後の場面でのセリフ「....こんな事なら生きとる内に、もっと優しゅうしといてやらぁ良かったと思いますよ。」と「一人になると、急に日が長ごうなりますわい。」が、とても胸に刺さりました。 日々忙殺されないがしろにしてきたものを、失って初めてその大切さに気付く。まさに「後悔先に立たず」。何処にも当たり前の日常など無く、一日一日がとても大切なものであることを、あらためて教えてくれた作品でした。今まで退屈だと思っていた小津作品。自分が年をとってまた病気をして、今更ながら見なおしてみるとその良さがわかったような気がします。アメリカ版の東京物語「みんな元気」をもう一度見直したいと思います。