1974年 東宝
監督:熊井啓
鑑賞:Amazonプライム
田中絹代さんといえば黎明期の日本映画の大女優さんという肩書きがありますが出演作品はほとんどといっていいほど知らない女優さんです。今回は九州の田舎のおんぼろ屋敷に住む老婆役でした。栗原小巻という女優さんも存じていますがほとんど見たことがありませんでした。この作品はもう50年前の作品ですので当時は新旧の大女優さんの共演で話題になったことだと思います。物語はさすが社会派の熊井啓監督のメガフォンがさえわたります。まるでドキュメンタリー映画を見ているようでした。極貧生活の日本から東南アジアへ渡った主人公サキ。娼婦として働かされ日本に帰ってきましたが、母国の家族は冷淡でした。その後老婆になったサキを演じてるのは田中絹代。苦悩に満ちた人生を生きてきた女性を身体と表情でそれが滲む出る見事な演技でした。若かりし日の栗原小巻も美しいです。日本の裏歴史ですが、貧困の時代が招いたこういう事実を知らなければならないと思う1本でした。