🎬 薄化粧

1985年　松竹

監督：五社英雄

出演：緒形拳、川谷拓三、大村崑、竹中直人、藤真利子

鑑賞：BS松竹東急

こういう昭和の野太い作品がBS放送で見れるのはいいですね。1950年に別子銅山の社宅で起きた実際の事件（西村事件）に基づいた西村望の同名小説を原作としています。妻子を殺した上に刑務所を脱走した男の生きるための逃亡生活を描いています。緒形拳の演技の凄まじさがよくわかる作品です。罪を犯した男（緒形拳）の逃避行を描くって「復讐するは我にあり」と同じ、と思いきや本作の緒形拳はわりと陰影に富んだ複雑なキャラクターで感情を揺さぶってきます。逃亡を続ける現在の姿と、罪を犯してしまった過去の姿を交互に描く構成が効果的でした。ジャケ写は松本伊代でしょうね。女優としての印象のない彼女ですが、緒形拳に啖呵を切って翻弄する様子はなかなかの芝居でした。まさかジャケット写真になっているとは驚きです。女優さんは藤真利子さんがとても艶っぽい演技で楽しめました。これも昭和のいい作品だと思います。