ホームシアターブログ

プロジェクターとスクリーンで自宅で映画を楽しんでいます。

🎬 ライフ

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2017年 コロンビア

監督:ダニエル・エスピノーサ

出演:ジェイク・ギレンホール, レベッカ・ファーガソン, ライアン・レイノルズ, 真田広之, アリヨン・バカレ

【あらすじ】

火星で採取された地球外生命体の細胞を極秘調査するため、世界各国から6人の宇宙飛行士が国際宇宙ステーションに集結した。世紀の大発見に立ち会った彼らは、まさに神秘としか言いようのない地球外生命体の生態に驚愕するが、その細胞は次第に進化と成長を遂げ、高い知能を誇るようになる。やがて地球外生命体に翻ろうされ、宇宙飛行士たちの関係が揺らぎ始める。刻一刻と事態が悪化する中、命がけで生命体を隔離しようと試みるも、ついには命を落とす者も出る。助けを呼べない宇宙で追い詰められた彼らは……。

 

見た目はヒトデのようでありながら、高い知能があり怪力で人間を絞め殺す異星人のデザインが不気味で素晴らしかったです。後半は「顔」のようなものが出てきますが、それは無い方がより良かったと思うかな。宇宙ステーションの造形も無重力感も良かったです。ただ真田広之がいなくなったのは残念かな(笑)。最後はどうして男性のカプセルが地球に落ちたのかよくわからなかったです。てっきり女性のカプセルが落ちてきているものだと思っていました。エイリアンを彷彿させる作り方ですが、最後のシーンをみていると続編もあるのかなと思ってしまいました。

 

🎬 浮雲

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1955年 東宝

監督: 成瀬巳喜男

出演:高峰秀子, 森雅之, 加藤大介, 岡田茉莉子

【あらすじ】

戦時中、赴任先のインドシナで、妻ある男・富岡と出会い愛し合ったゆき子。終戦後、妻と別れて君を待っている、との言葉を信じ富岡のもとを訪れたゆき子だったが、富岡はいつまでたっても態度をはっきりさせようとしない。途方に暮れたゆき子は外国人の愛人となり、富岡のもとを去るのだったが……。

 

先日、小津安二郎監督の「東京物語」を観て良かったので、今回は同じ時代の名作「浮雲」を選んでみました。高峰秀子という女優さんは、晩年の演技しか知らないので、こういう若い頃の演技を見るのははじめてだと思います。当初は清純な演技なんですけど、だんだん堕落していく演技が凄かったです。それと森雅之という男優さんは存じあげませんでした。太宰治がぴったりと似合う自堕落な雰囲気がいっぱいの男優さんでした。恋愛物語なんですけど、キラキラしたシーンは全くありません。とにかく暗く救いのないストーリーでした。ラストは林芙美子の短詩で幕を閉じます。「花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき。」この詩が全てを物語っているなんとも後味の悪い作品でした。戦後のどさくさな雰囲気も実によく出ていたと思います。

 

🎬 あの夜、マイアミで

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2020年 アマゾンスタジオ

監督:レジーナ・キング

出演:キングズリー・ベン・アディル、イーライ・ゴリー、オルディス・ホッジ、レスリー・オドム・Jr

【あらすじ】

1960年代のアメリカ。アフリカ系アメリカンの平等を勝ち取るための公民権運動が勢いを増すなか、ある場所に4人の黒人男性が集う。カシアス・クレイマルコムX、ジム・ブラウン、サム・クック。それぞれがアフリカ系のアイコンとなる存在だった。和やかな時間が流れるかと思いきや、ふとしたきっかけに各々の人種問題に対する感情がぶつかり合っていくことに…。

 

昨年の12月にアメリカで劇場公開された作品です。アカデミー賞にもノミネートされているんですね。配給がアマゾンスタジオになっていまして、Amazonプライムでもう観ることができました。それも吹替えで。これはさすがにお得感を感じましたね。この作品はカシアス・クレイが白人とボクシング対決するところから始まり、それはまさしく「黒人vs白人」の構図です。しかし、この一戦では負けてしまいます。サム・クックも、ジム・ブラウンも、白人社会の厳しさを身をもって味わうばかりです。マルコムXにいたってはイスラムの黒人社会からも追われ、孤立しています。そんな4人がマイアミのホテルの1室で語り合います。目を引くような映像や派手な物語展開が無い会話劇ですが、4人の黒人男性の熱いディスカッションが作品にメリハリと躍動感を与えていて、とても面白かったです。会話だけでここまで作品に引き込まれるのは、俳優陣の演技、個性的なキャラクター、その主義主張の熱さによるところが大きいと思います。特にジムブラウンが語る黒人の肌の明るさについての話は、劇中のマルコムXが言う通り、興味深く、印象的でした。当時の歴史的背景を深く知っていればより楽しめると思いますが、主要4人の事をざっくりとしか知らない私でも中々楽しく観ることができました。この作品はAmazonプライムの会員ならすぐ見れます(^^)/

🎬 空気人形

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2009年 アスミックエース

監督:是枝裕和

出演:ペ・ドゥナ板尾創路

【あらすじ】

古びたアパートで持ち主である秀雄と暮らす空気人形が、本来持ってはいけない「心」を持ってしまう。ある日、レンタルビデオ店で働く純一と出会い、純一に想いを寄せる空気人形だったが…。

 

是枝裕和監督作品です。それもなんと9年の構想を持って撮られた作品だとか。初見でした。万人が見ていいという作品ではないと思いますが、それが是枝監督の目指すところかもしれません。ペ・ドゥナという女優さんの他の作品も観てみたいし、板尾創路が失礼ながらここまで演技ができるとは思わなかった。ファミレスで働くしがない独身者なんですが、怒られるシーンなんかは実にはまっていました。つっこみどころはたくさんある作品ですが是枝作品の一つとして観るのも悪くないと思います。

 

🎬 家族ゲーム

f:id:AZM57:20210809062834j:plain十三

1984年 ATG

監督:森田芳光

出演:松田優作宮川一朗太伊丹十三由紀さおり

【あらすじ】

高校受験を控えた息子のために雇われた風変わりな家庭教師の出現によって、家族のありようが次第に変化していくさまを描いた、森田芳光監督のホーム・コメディ。

 

この作品の松田優作はギラギラしている優作ではないのですが、時おり見せる危険な優作がでるのが森田監督の腕の見せどころだったんでしょうね。伊丹十三もくせのある役柄はうってつけで、もうこの三人のお姿を見ることは映画の中だけだと思うと感慨深いものがありました。内容のほうはこの作品も難解な場面がいくつもあります。兄貴の交友関係や突然部屋の中に入ってきているおばさん、最後の晩餐を滅茶苦茶にする優作と兄弟、最後のヘリコプターの音などちょっと自分にはレベルが高すぎるシーンが多々ありました(笑)。今となってみれば、いじめ、団地、核家族と当時をしのびながら、懐かしみながら観る作品なのでしょうねまた奇遇なことに先日観た「ふるさと」と同じ年の公開なんですね。CGなどはありませんが邦画の良き時代の一作だと思います。

 

🎬 ハイクライムズ

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2002年 20世紀フォックス

監督: カール・フランクリン

出演:アシュレー・ジャド, モーガン・フリーマン, ジム・カヴィーゼル

【あらすじ】

美しく優秀な女性弁護士クレアと、建設会社を経営している夫トムは、カリフォルニアのマリン郡で幸せな生活を送っていた。しかし、ある日家に強盗が入り、警察沙汰になったことをきっかけに事態は思わぬ方向に進んでいく。強盗事件の後まもなく、トムは街でFBIに逮捕される。彼の本名はロナルド・チャップマン。かつて海兵隊の特殊部隊に所属していた彼は、エル・サルバドルで一般市民を9人殺害し、12年もの間逃亡していたというのだ。トムはクレアに身の潔白を訴え、無実を信ずるクレアは彼を救うべく、軍事裁判のプロであるチャーリー・グライムス弁護士の助けを借りて軍事法廷に立った。しかし、そこは彼女の知っているルールがまったく適用されない世界だった……。

 

モーガン・フリーマンはいつ見ても安定感といいますか安心して観ていられます。今回の作品もまたサポートをする役柄なんですけど、もう少しモーガンの活躍ぶりがほしかったかなといった感想でした。主人公はアシュレー・ジャドっていう女優さんなんですけど初見でした。「ヒート」に出られてたんですね。この作品自体の主人公にはほとんどといっていいほど救いがありません。もうちょっと救いがほしかったかな。善悪の明確な境界がない作品なので見終わった後はスッキリ感がしませんでした。軍事裁判自体にあまり馴染みがないので余計にそう感じたのかもしれません。それとモーガンアルコール中毒だったというシナリオも余計な感じがしたかな。スピード感があるので一気に観させてくれますが何か釈然としないのが残る作品でした。

🎬 ふるさと

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1983年

監督:神山征二郎

出演:加藤嘉長門裕之樫山文枝

【あらすじ】

ダム建設のために水中に没していく小さな村。その村で最後の夏を過ごした少年の記憶。一つの村が無くなる時、一つの命が消える…。あの少年の日とともに、僕の村は消えていった。

 

 

加藤嘉さんが日本アカデミー賞をとられた作品です。砂の器の演技がとても強烈な印象が残っている俳優さんで、主演されている作品を探しているとこの作品に出会えました。ぼけ老人とその息子夫婦の暮らしを描いていますが、なんといっても加藤嘉の目の中の宿る狂気といいますか、それはもう見事なぼけぶりでした。息子役の長門裕之の怒りの演技も悲しみの演技もナチュラルで上手かったです。ラストは子どもたちの合唱で「ふるさと」を歌うのですが、思わず目頭が熱くなってきました。うさぎおいしかの山、小ぶな釣りしかの川・・・♪ やはり日本のふるさとを思う名曲だと思います。まだまだ世の中はデジタル化されていない昭和58年の作品です。家並、町、森、小川、景色も美しく、人間関係も懐かしい。都会に住む自分には少し羨ましくなる、もう二度と取り戻せない美しいものがいっぱい詰まっている映画です。