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プロジェクターとスクリーンで自宅で映画を楽しんでいます。

🎬 蛍川

1987年 松竹

監督:須川栄三 原作:宮本輝

出演:三國連太郎、十朱幸代、大滝秀治殿山泰司、川谷拓三

観賞:BS松竹東急

少年の初恋、性への目覚め、大切な人の死。こんな感じの当時の文科省推薦作品です。現時点で配信なし、blu-rayなし、DVDはプレミアで高額という作品となっていますのでテレビ放送は貴重だったと思います。やはり三國連太郎は重厚感といいますか存在感の際立つ役者さんだと改めて思います。脇をかためているのが大滝秀治奈良岡朋子殿山泰司といった昭和の名優さんたちが楽しめます。ラストシーンの蛍の乱舞は見事でした。もうおそらく見ることができないレアな1本だと思います。機会でもあったら見てみようと思ってもちょっと見ることは難しい作品だと思いますよ(笑)

🎬 妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ

監督:山田洋次

出演:橋爪功吉行和子、西村雅彦、夏川結衣蒼井優

観賞:BS松竹東急

本作のテーマは主婦について。毎日の料理に洗濯、掃除にお買い物、家計のやりくりに四苦八苦。まさに家庭の全てを把握した存在。やってくれることが当たり前だと知らず知らずの内に思い込んでやしないか?―思わずハッとさせられ、身につまされる事柄が多く、考えさせられました。泥棒に入られてへそくりをとられた額が40万円と知って妻に放った西村雅彦の言葉が自分でも言いそうになると思うくらいリアルな一言でした。この言葉が引き金になって夏川結衣は実家に帰ってしまうんですけど、一つ一つのシーンが丁寧に作られているので、やはりこのシリーズは面白いと思います。山田洋次監督らしい作品ですが、どうか監督長生きされてください。

🎬 ハチ公物語

1987年 松竹富士

監督:神山征二郎

出演:仲代達矢八千草薫長門裕之山城新伍石野真子

観賞:BS松竹東急

有名な作品ですが初見です。今はもう犬を捨てるという時代ではなくなったというのが救いのような気がします。八千草薫さんは美しくて素敵な女優さんですね。それと浦辺粂子さんが見られたのは貴重です。物語は多少の脚色はあると思いますが、ハチ公像の由来を知る事ができました。石野真子演じる娘の身勝手さにイライラしますが、仲代達矢演じる上野教授のハチに対する深い愛情によって忠犬となったことや、双方の絆はうまく描かれていたと思います。ただ、絆は教授とハチの間だけのものであって、教授が亡くなってからのハチの扱いには胸が痛みます。仲代達矢は「鬼龍院花子の生涯」や「乱」「影武者」での役柄が印象的でしたが、この作品では少々浮世離れした大学教授を演じており、これはこれで味があってよかったです。やはり動物と子役の演技には勝てないと森繫さんが言っていたとおりだと思いました。

🎬 網走番外地~吹雪の斗争~

1967年 東映

監督:石井輝夫

出演:高倉健安藤昇、梅宮辰夫、菅原文太中谷一郎

観賞:BSトウエルビ

ご存じ網走番外地”シリーズ第十作目です。これまで常連だったメンバーが一新されています。おそらく新人であろう菅原文太健さんと初共演をはたした作品です。それと準主役の安藤昇っていうお方は知らなかったですが本物のヤクザだったみたいです。梅宮辰夫をスクリーンでみたのは初めてのような気がします。風車の弥七こと中谷一郎も悪役として登場します。最後は何故か騎馬戦となり北海道の原野に馬が走り回ります。おそらく西部劇を意識しているのかなぁと思うので調べてみますと、荒野の七人や夕陽のガンマン、シェーンなどはいずれもこの作品より前に公開されていますので、西部劇をかなり意識したつくりになっていました。懐かしい面々を楽しめる1本だと思います。

🎬 母べえ

2008年 松竹

監督:山田洋次

出演:吉永小百合浅野忠信笑福亭鶴瓶坂東三津五郎、壇れい

観賞:BS松竹東急

昭和15年父(坂東三津五郎)は、特高警察によって検挙され、巣鴨拘置所に収監される。思想犯が国体変革を狙う不届き者として白眼視される時代に、父との往復書簡を挿入して、家族が支え合って明るく暮らす姿が描かれています。これから太平洋戦争に向かっていくという混沌とした時代を背景に家族の絆が実に山田洋次監督らしく描かれています。後半のラストは現代に時間軸を移し、亡くなっていく吉永小百合の最後の台詞が涙を誘います。こういう時代もあったのだということを再認識させられる家族の絆を描いた山田洋次監督らしい反戦映画です。坂東三津五郎さんはこの作品でも早死にされますがリアルでも59歳の若さでお亡くなりになっています。合掌

 

皇帝のいない八月

1978年 松竹

監督:山本薩男

出演:吉永小百合渡瀬恒彦三國連太郎佐分利信山崎努

観賞:BS松竹東急

自衛隊員らがクーデターを起こす…。衝撃的な内容の同小説を映画化した1978年の作品です。渡瀬恒彦吉永小百合ら超豪華キャスト。特に、三國連太郎丹波哲郎佐分利信の名優揃い踏みには唸らされます。ただオールスターキャストだけに登場人物がどういう役柄なのかが多すぎてわからなかったです。得てして昭和の大作はこういうものが多いのかもしれませんね。吉永小百合は生涯この作品で唯一死んでしまいます。ただこの作品には彼女の存在は可愛すぎて、まして骨太の内容なので彼女の存在が少し違和感を感じてしまいました。昭和らしい大作といったところでしょうか。

🎬 護れなかった者たちへ

2021年 松竹

監督:瀬々敬久

出演:佐藤健、清原果耶、阿部寛倍賞美津子

観賞:Amazonプライム

物語は震災もテーマにあって、生活保護の闇や問題も織り交ぜながらのサスペンスといった感じでした。「ビレッジ」とよく似た作品だったと思います。身寄りを失った者同士の支え合いや絆と、佐藤健の演じる主人公が変わっていく様子などはとても温かい気持ちになりますが、それを感じていたからこその真実を知ったときに非常に悲しく、何とも言えない気持ちになりました。倍賞美津子のおばあちゃんはちょっと昔を知っているだけに老け感がリアルでちょっとショックでした。佐藤健の泥水に顔をつけるシーンが印象的でこういう社会派演技も良かったと思います。また清原果耶ちゃんの迫真の演技にはドキッとさせられました。このキャストの中で全く見劣りしない若手女優さんでした。震災後のことを描いた重たい作品でした。