1965年 東映
監督:内田吐夢
【あらすじ】
終戦間もない頃、台風により転覆した青函連絡船の遭難者の中に、他殺死体が紛れ込んでいた、だが収容した遺体は乗客名簿より2名多く…。
水上勉の推理小説「飢餓海峡」を完全映画化したサスペンス映画です。モノクロ作品ですが、天井や地平からの大胆なカメラアングルや心理の影を描くために試された画像演出には正直驚きましたし、俳優陣の演技が緻密かつ濃厚なので自然とこのモノクロ画面に引き込まれます。特に三國連太郎と伴淳三郎、左幸子は怪演とも言える喜怒哀楽と重苦しさで、高倉健すらまるで若造に見える程だから凄いです。今のサスペンス映画も見ごたえがありますが、50年以上たった今でもモノクロでここまで見せる作品も凄いなぁって思います。今は亡き俳優陣ですが懐かしい思いとともに重厚な演技を見せていただきました。