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プロジェクターとスクリーンで自宅で映画を楽しんでいます。

🎬 ミッドナイトスワン

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2020年 キノフィルムズ

監督:内田英治

出演:草彅剛、服部樹咲

【あらすじ】

故郷を離れ、新宿のニューハーフショークラブのステージに立つ、トランスジェンダーの凪沙。ある日、凪沙は養育費目当てで、少女・一果を預かることになる。

 

前回は香取慎吾ギャンブル依存症の作品で今回は草彅剛のトランスジェンダーの作品、これも見ごたえがありました。この作品は草彅剛の存在感に加えて、子役の「一果」役の服部樹咲の存在感も大きかったです。「この子役は上手いけれど、誰だろう?」と思っていたら、演技未経験の新人であったことに驚きました。4歳からバレエを始めていただけあって、核となるバレエの上手さは言うまでもなく、通常の演技も草彅剛の演技と相乗効果が増幅していっているほどのハマりようでした。
そして、宝塚歌劇団出身の真飛聖の演技も光っていました。日本で(ごまかしのききにくい)バレエの講師役がキチンと務まり、しかも演技もできる女優は極めて少ないでしょう。

残念ながらトランスジェンダーへの差別や偏見が無くなる事は無いでしょう。しかし今は多様性を受け入れる時代です。この作品はそんな問題を提起しているようにも思えました。

 

 

🎬 凪待ち

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2018年 キノフィルムズ

監督:白石一彌

出演:香取慎吾恒松祐里リリー・フランキー

【あらすじ】

毎日ふらふらと無為に過ごしていた郁男は、恋人の亜弓とその娘・美波と共に彼女の故郷、石巻で再出発するが、小さな綻びが積み重なり、やがて取り返しのつかないことが起きてしまう―。ある夜、亜弓から激しく罵られた郁男は、亜弓を車から下ろしてしまう。そのあと、亜弓は何者かに殺害された。恋人を殺された挙句、同僚からも疑われる郁男。次々と襲い掛かる絶望的な状況から、郁男は次第に自暴自棄になっていく。

 

孤狼の血』の白石和彌監督、香取慎吾主演によるヒューマンサスペンス。誰が殺したのか?なぜ殺したのか?」というキャッチフレーズ、これはちょっと違うとと思いました。この映画は変わりたくても変わられない、クズのような生活から抜け出せないダメ男の再生についての話がメインであり、殺人事件の犯人や動機はまったく描かれていません。要するにこの映画はヒューマン映画であり、サスペンスではありません。にも関わらず、サスペンス臭を漂わせるこのキャッチフレーズはいかがなものか…。なお、ヒューマン映画としては完成度が高い印象があります。それに役者・慎吾くんが観れます。この演技は凄いものがありました。ギャンブル依存症の役、かなりの汚れ役で驚きました。老いた父親役、リリーフランキー、脇役の方たちも秀逸です。全体的に暗くて重いトーンですが、脇役の役者さんも(知らない役者さんが何人も!)素晴らしかったことと、エンドロールもすごく好いので、最後まで必見です。なんせこのキャッチコピーが残念ですね。

 

🎬 重力ピエロ

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2009年 アスミックエース

監督:森 淳一

出演:加瀬亮 岡田将生 小日向文世

【あらすじ】

辛い過去の記憶を抱えて大人になった泉水と春の兄弟。そんなある日、連続放火事件が発生し、春は自分が落書き(グラフィティアート)を消した場所の近くで必ず放火が起きていることに気づく。落書き現場に書かれた文字を放火犯からのメッセージだと考えた春は、泉水を誘って夜の街を見張るのだが…。

 

感想は「う〜ん、難解」です。ちょっとありえない家族の物語であり、加瀬と岡田の演じる兄弟の行動がよくわかりません。ちょっと・・・いやかなり変わり者の夫婦に、まず共感できないし、岡田演じる春(ピカソ)は、一体何だったんでしょうか。ピエロとは・・・・サーカスの空中ブランコから今にも落ちそうなピエロは、重力をコントロールして地面に叩きつけられることはない。それはピエロが笑っているからということらしい。転じて、本来不幸であるはずの家族ではありますが、笑顔で過ごせば、いろんな困難を乗り越えられるということですかね〜よくわかりません。
遺伝子とか放火とか・・・いったい何の前振りだったんででしょうか?結局・・・・事件はうやむやってことでしょうか。
吉高由里子演じるストーカー役の存在意味は何だったんでしょうか。原作はベストセラーらしいので原作を読んでもう一度観てみたいと思います。私には難解すぎる作品でした。

 

🎬 5パーセントの奇跡 ~嘘から始まる素敵な人生

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2017年 ドイツ

監督:マルク・ローテムント

出演:コスティア・ウルマン、ヤコブ・マッチェンツ

【あらすじ】

先天性の病気で95%の視覚を失った青年サリーは、5つ星ホテルで働く夢を叶えるために、目が見えないということを隠して、見習いを始めるという。持ち前の明るさと機転を利かせ、ホテルの研修課題を次々とクリアしていくサリー。しかし、ラウラとの出会いにより、完璧だった偽装計画が徐々に綻び始めてしまう。果たして、無謀とも呼べる夢は叶うのか…。

 

覗かせていただいているブログさんの紹介で観てみました。知らない役者さんでしたけどテンポもよくってあっという間に見終わった感じです。盲目の人が盲目であることを隠し、普通の職に就こうという夢に挑む話で、その不屈の精神には敬服しますし、努力や発揮する能力の高さは観ていて応援したくなります。最後はうまくいって「よかったね」という感じで終わるんですが… あれだけ一流のホテルマンを夢見て努力したのに最後はこれってちょっと終わり方が自分には納得がいかない感じでした。でもドイツのミュンヘンの街並みが美しいのも必見です。

 

🎬 小さいおうち

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2014年 松竹

監督:山田洋次

出演:松たか子黒木華

【あらすじ】

昭和11年。田舎から出てきた純真な娘・タキは、東京郊外に建つ少しモダンな、赤い三角屋根の小さなお家で、女中として働きはじめた。しかしある日、一人の青年・板倉が現れ、奥様の心があやしく傾いていく。タキは、複雑な思いを胸に、その行方を見つめ続けるがー 

 

安心の山田洋次監督作品です。確か2回目なのですが全くもって新鮮に観ることができました。そいえは昨日BSテレビで「JAWS」を放送していましたが、ほとんど忘れているのでもう一度観てみようと思いました(笑)。そんな映画だらけだと思います。この作品は昭和11年昭和モダンといわれる時代から太平洋戦争の突入していく時代背景のなかで、現代の語り部によって作られています。特に印象的だったのは戦前の人々の華やかな東京の暮らし。世の中が戦争へと向かう中での、人々の心情や暮らしの変化がまざまざと描かれていて、必ずしも悲観的なことばかりではなく、そこには、いつもと変わらぬ日常が存在していたということを感じさせてくれました。女中という仕事が当たり前であった時代、それはそれで暖かくいい時代だったんだろうなぁって思います。最後に米倉斉加年さんが先の大戦を語る台詞「いやな時代だったなぁ・・・日本人誰もが不本意な選択を強いられていたんだ…」この言葉の監督さんの思いが伝わってくるような味わい深い山田洋次監督作品でした。

 

🎬 フライト・ゲーム

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2014年 ユニバーサル

監督:ジャウマ・コレット=セラ

出演:リーアム・ニーソン, ジュリアン・ムーア, ミシェル・ドッカリー

【あらすじ】

航空保安官のビルは、警備のために乗り込んだ旅客機の中で匿名の脅迫メールを受け取る。やがてひとりの乗客が殺害され…。その瞬間、乗客乗員146人が全員容疑者にとなる…

 

ジュリアン・ムーアが出演する作品なので、迷わず観ました。もう少し彼女を中心にストーリーが展開していくのかなって思いましたが、中盤にやはり来たかと思ったのも何か消化不良的な役柄だったような気がします。リーアム・ニーソンは「トレインミッション」の役柄とほぼ同じでこういう役どころが似合いますね。ダメ親父風なんだけどメチャ強いので、おじさんとしては応援したくなります。この作品も、離婚歴有り&幼い子供を無くし&警官を解雇されと、転落人生を絵に書いたようなTSA捜査官が、犯人逮捕のために、狭い機内で最後まで奮闘するという、とてもリアルではあり得ないような大活躍を見せます。つっこみどころも満載ですが見ていて飽きない作品でしたが、犯人の動機がイマイチわからず消化不良が残った作品でした。

 

🎬 百円の恋

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2014年 SPOTTED PRODUCTIONS

監督:武正晴

出演:安藤サクラ, 新井浩文

【あらすじ】

自堕落な生活を送る32歳の斎藤一子が、中年プロボクサー・狩野との出会いをきっかけに、自らもボクシングに目覚めていく。

 

安藤サクラ日本アカデミー賞最優秀主演女優賞をとった作品です。先日のマザーの長澤まさみといい、この作品も見事な女優魂を見せてくれています。序盤から後半にかけて体型がどんどん変わり、後半だと体が動くスピードも素人のスピードじゃないと思うのでこれは単に演技なのではなく、実際にボクシングのトレーニングをかなりこなしながら、時間をかけて撮影して行ったのだろうと思いました。彼女は嗚咽をこぼしながら、一度でいいから勝ちたかったと言いいます。試合だけではなく、今までの人生を通してなんでしょう。勝つことはできませんでした。それでも彼女が懸命に闘う姿は、それを見ていた家族と、彼にも届いていました。たしかに結果は大切でしょう。勝負事であればなおさらです。それでも、結果にこだわり努力を続ける真摯な姿は、勝者も敗者も関係なく美しいと思いました。

話は変わりますが、東京オリンピックの開催の是非をよく報道されていますが、真摯に向かうアスリートたちのことをもう少し考えてあげればいいのになぁって思います。