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プロジェクターとスクリーンで自宅で映画を楽しんでいます。

🎬 雨あがる

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2000年 東宝

監督:小泉堯史 脚本:黒澤明

出演:寺尾聡、宮崎美子原田美枝子

【あらすじ】

職もなくあてのない旅をする武士「三沢伊兵衛」(みさわいへい)、そしてその妻「たよ」。ある日大雨で足止めを喰らい、立ち寄った宿で、さまざまな人々の喧嘩に出くわす。命危険を顧みず、仲を取り持つ伊兵衛。その一部始終は藩主の目に届くこととなる。藩主は伊兵衛の人柄を気に召し「剣術指南番」として城に迎い入れようと申し出る。

 

小泉堯史監督の初作品です。個人的にこの監督さんの作品はお気に入りです。「阿弥陀堂だより」「博士の愛した数式」など、どれも主演は寺尾聡ですが、実にいい感じで肩の力を抜いて演じられているのが実にいいです。殿様役の三船史郎って三船敏郎さんの息子さんだったんですね。台詞の棒読み感はわざとかなと思わせる大根役者ぶり、どこか間抜けな殿様を演じているなら見事でした(笑)。

黒澤明脚本だけあって、階級社会や、藩主や藩士の生活模様が時代考証の元に描かれていて、下人の宴の描写など、貧しい中にも娯楽があり、幸福感が漂ってました。どこかあの名作「七人の侍」の農民たちを彷彿させてくれるシーンもあり、その中でも特に原田美枝子の演技は凄みがあって光ってましたね。

『大切なのは何をしたかより、何のためにしたかです。』劇中の台詞です。この言葉にはっとさせられました。良い悪いというのは、表面だけで判断すると見誤ることがあります。だからこそ、判断をくだす必要にある立場の人には真贋を見分ける目を持っていてほしいものです。静かで温かみのあるいい作品でした。