1963年 東宝
監督:黒澤明
【あらすじ】
ナショナル・シューズの権藤専務は、自分の息子と間違えられて運転手の息子が誘拐され、身代金3千万円を要求される。苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出して3千万円を用意する。無事子どもは取り戻したが、犯人は巧みに金を奪い逃走してしまい、権藤自身は会社を追われてしまう……。
映画ファンならやはり黒澤作品は観とかないといけませんよね。この作品も約150分ほどの長尺ですが、モノクロなので重みといいますか迫力感がありぐいぐいと迫ってくる感じであっという間の観賞でした。黒澤作品は「七人の侍」を筆頭に時代劇が多い感じですが、これはお侍さんを現代劇に変えた、懐かしい役者さんたちを楽しめるのと、昭和の街並みや風景を楽しませてくれるところもまたいいですね。ノンクレジットで大滝秀治さんや常田富士男さんなども出演されているのには驚きました。それとデビュー間もない山崎努、面影はたしかに残っていますが若い頃からストイック感がありありで犯人役がぴったりでした。ただ脚本で腑に落ちないところが1点あります。この作品は貧富の差の逆恨みからの犯行なんですが、山崎努演じる犯人は医者の卵でインターンの学生という設定です。お医者さんっていう職業を選ぼうとしている者が貧困にあえぐのかなぁ…(-.-)なんかそのあたりをどうして医者の卵を犯人にしたのかを知りたいところです。それにしても身代金の受け渡しは秀逸でした。模倣犯が現れてもおかしくないくらいだったと思います。当時のこだま号の中も楽しめるのも良かったです。