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プロジェクターとスクリーンで自宅で映画を楽しんでいます。

🎬 八日目の蝉

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2011年 松竹

監督:成島出

出演:井上真央 永作博美 小池栄子

【あらすじ】

不実な男を愛し子を宿すも、母となることが叶わず、男と妻の間に生まれた赤ん坊を連れ去った野々宮希和子。その誘拐犯に4年間愛情いっぱいに育てられた秋山恵理菜。21歳になった恵理菜は、ある日妊娠していることに気づく。相手は家庭を持つ男だった。過去と向き合うため、希和子と暮らした小豆島へ向かった恵理菜が見つけたものは。

 

実母とえりなのシーンは不幸で悲しいし、一方きわこと薫のシーンは幸せで悲しいです。捕まる時のセリフは、きわこが母親として薫を守ってきた時間がぎゅっと凝縮された一言でした。あの場面であのセリフは、母親でなければ言えないと思います。倫理観や犯罪はひとまずおいといて、どちらに感情移入しても辛いです。辛いけど、切なくて何かあたたかい作品でした。ラストシーン、心を閉ざした薫(=えりな)をゼロに戻したのはきわこの愛情だった事を思うと、きわこ目線では救われるけど、実母目線だとさらに報われないかなぁ。。。男としてはなんとも表現しにくい作品でしたが、2011年のアカデミー賞を総なめにしたのは十分に納得できます。永作博美さんの名演技が実に光っていました。

 

 

🎬 白夜行

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2009年 韓国

監督:パク・シヌ 

出演:ソン・イェジン, ハン・ソッキュ, コ・ス, イ・ミンジョン 

【あらすじ】

密室となった廃船で、質屋の店主が殺された。決定的な証拠がないまま、事件は容疑者の死亡によって一応解決をみる。しかし、担当刑事のハン・ドンスだけは腑に落ちない。 容疑者の娘で、子供とは思えない妖艶な魅力を放つ少女イ・ジアと被害者の息子で、どこか暗い目をしたもの静かな少年キム・ヨハンの姿がいつまでも目蓋から離れないのだ。やがて成長した二人の周辺で不可解な事件が立て続けに起こり、意外な関係が姿を現し始める…。

 

これも東野作品ですが、原作も読んでないし、邦画も未見のまま、ちびゴリさんのレビューが興味深くAmazonプライムにあったので早速観てみました。韓国作品は初見だと思います。全編ダークでウエットな空気感がただよっていましたが、この感覚がコリアン気質に合っているのか、見事に邦画とまた違ったこれが韓国映画か!という雰囲気になっていました。特筆すべきは音楽の良さ。「白鳥の湖」が効果的に使われていて、深い余韻を残します。メインテーマのピアノ曲も良い曲でした。ただ、韓国映画に馴染みのない自分には出演者の俳優たちが誰が誰やらよくわからず、登場人物の相関関係を追うのが大変で、ストーリーが理解しきれなかったです。(笑)鑑賞前に少しあらすじを理解しておいた方がストーリーがしっくりくるかもしれませんね。映画製作に対する姿勢の面でも韓国も十分力ありということがわかるの作品でした。

🎬 踊る大捜査線

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1998年 東宝

監督:本広 克行

出演:織田裕二, 柳葉敏郎, 深津絵里, 水野美紀, いかりや長介

【あらすじ】

湾岸署管轄内で水死体が発見され、青島刑事らは捜査に当たるが、同時期に警視庁副総監誘拐事件、湾岸署内での盗難事件も発生し…。 二つの事件が複雑に絡み合う中、命を賭け事件に挑む青島刑事が最後に見たものは!? 

 

実はこの作品は初見でした。テレビも観ていませんでした。大ヒットした作品ですのでいつかは観ようと思って20年近く経ってしまいました(笑)

大ヒットしたのは、バブル経済の崩壊後に働く者にとって「正しいことができないんだ…自分の信念も貫けない」とセリフを吐く室井の姿に、当時の多くの中間管理職が自分の姿を重ね共感し、「事件は会議室でおきているんじゃない!現場でおきてんだ!!」とセリフを吐く青島の姿を、現場の本音として組織の底辺で働く多くの人が共感したんじゃないのかなぁって思ったりもしました。しかし、いかりや長介さんは渋かった、役者としてもっと観てみたかったと改めて思いました。

 

🎬 マッドマックス 怒りのデスロード

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2015年 ワーナーブラザーズ

監督:ジョージ・ミラー

出演:トム・ハーディ、シャリーズ・セロン

【あらすじ】

壮絶な過去を引きずりつつ、荒廃した世界をさすらうマックス・ロカタンスキー(トム・ハーディ)は、 大隊長フュリオサ(シャーリーズ・セロン)率いる集団と出会い、「緑の土地」を目指す逃避行に加わる。 振り返れば大勢の手下を従えて反逆者を猛追する敵の首領の姿が。

 

マッドマックスは一回も観たことなくて、名前を知っている程度の私ですが楽しめました。この映画は難しいことは考えず、頭を空っぽにしてとりあえず迫力ある映像とかっこいい婆や各種属性を取りそろえた美女たちを堪能していれば十分に楽しめる作品だと思います!サラウンド全開にしてもう一度観てみようかな。シャーリーズ・セロンはかっこよすぎでした(^^)/

 

🎬 祈りの幕が下りる時

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2018年 東宝

監督:福澤克維

出演:阿部寛、松島菜々子、小日向文世

【あらすじ】

東京都葛飾区小菅のアパートで女性の絞殺死体が発見され、殺害現場となったアパートの住人も行方不明になっていた。遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることを知った加賀恭一郎は、激しく動揺し…。

 

この作品は松本清張の「砂の器」に対するオマージュを強く感じさせられました。「砂の器」が様々な事情により地上波などでの放映が難しい今、東野圭吾と福澤監督が見事に現代に蘇らせた作品といって良いと思います。特に松嶋菜々子の演技がピカイチで、ゾッとするような表情が凄かったです。本気の演技というか、やまとなでしこ時代のイメージとは全然違うまさに「女優」という言葉が相応しい貫禄を感じました。珍しく小日向さんが押されて、阿部寛が霞みましたね。 東野圭吾さんの小説はいつも謎が解けるとき、いつも悲しいですね。だれもその不幸に手を伸ばして助け出そうとする者がいなくて、自分たちで乗り越えようと必死でもがいている。しかもそれがいろんな愛ゆえの悲劇なので、見ていていつも悲しいと思います。それゆえに心に響くいい作品でした。 

 

🎬 マスカレードホテル

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2019年 東宝

監督:鈴木雅之

出演:木村拓哉, 長澤まさみ 

【あらすじ】

都内で起こった3つの殺人事件は、予告連続殺人として捜査が開始された。警視庁捜査一課の刑事・新田浩介は、次の犯行場所がホテル・コルテシア東京であることを突き止める。警察は、コルテシア東京での潜入捜査を決断し、新田がホテルのフロントクラークとして犯人を追うこととなる。事件は急展開を迎え、追い込まれていく警察とホテル。果たして、仮面(マスカレード)を被った犯人の正体とは…。

 

長澤まさみのキッチリとしたフロントの役、姿勢、話し方、見ていて素敵ですね。気持ちがいい。風変わりな宿泊客達のエピソードも面白いです。ホテル側の視点、客側の理由、人生いろいろですね〜。ホテルってそういうところかもしれませんね。木村拓哉は、癖のある演技がどうのこうのは別として日本最大のアイドルグループを成長させ引っ張っていった立役者であり、常にテレビ局の視聴率を背負わされた来た男の言葉で出せない、いや身体に染み込んだ凄みを感慨深く感じます。歳をとったキムタクが再度輝いている姿を見て嬉しく感じました。設定のホテルが豪華でキレイで非日常的で…それを見てるだけでも楽しかったです。豪華な俳優陣も楽しめました。文句ないです。小日向文世もよかったですし、生瀬勝久のクレーナーさはまさに絶品でした。明石家さんまさんの友情出演はぜんっぜんわかりませんでしたね(笑。これは絶対無理〜ですよ! 

 

 

🎬 彼女がその名を知らない鳥たち

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2017年 クロックスワークス

監督:白石和彌

出演:蒼井優阿部サダヲ松坂桃李、竹ノ内豊

【あらすじ】

15歳年上の陣治と暮らしながら、8年前に別れた黒崎のことが忘れられない十和子。ある日彼女は、刑事から黒崎が行方不明だと告げられる。

 

途中までは観るのが耐え難いほどの最低の男女だなと思いました。生理的な嫌悪感さえ感じる中年男と、現状に不満を抱えながらも仕方がなくその男といる女。辛い共依存蒼井優阿部サダヲが好演しています。

阿部の不潔さ・陰湿にも思える愛情・仕事を放りだして女に付きまとい社会的な評価がどんどん下がっていっている異常さが、最後まで観て腑におちました。
蒼井と出会う前の阿倍がまた素晴らしい。以前は美男子ではないものの、こざっぱりしていて清潔感があり、生気がある様子がよくわかる。その彼が彼女と出会った為に、特にあの事件後、阿倍の崩壊ぶりや、蒼井の壊れっぷりとの対比が見事でした。お二人の大阪弁も実に見事で違和感なくすんなりと聞くことができましたし、地元阿倍野をロケしているのでさらに親近感が沸いた実にいい作品でした。