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プロジェクターとスクリーンで自宅で映画を楽しんでいます。

🎬 ディア・ドクター

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2009年 アスミックエース

監督:西川美和

出演:笑福亭鶴瓶/瑛太/余 貴美子/井川 遥/香川照之/八千草 薫

【あらすじ】

山あいの小さな村。唯一の医師として人々から慕われていたひとりの医師が失踪した。警察がやってきて捜査が始まるが、驚いたことに村人は、自分たちが唯一の医者として慕ってきたその男について、はっきりした素性を何一つ知らなかった。やがて経歴はおろか出身地さえ曖昧なその医師・伊野の不可解な行動が浮かびあがってくる…。

 

最近西川美和監督作品を立て続けに観ていますがなんかいいんですよね。この作品は笑福亭鶴瓶が主演なんですが、演技が上手いわけでもなく笑顔の中にも目が笑ってなく、これが演技なのか素人なのかの区別がつきにくく、これが演技だったら素晴らしいと思うんですけどこれがこの監督さんの意図している、偽医者なのだとしたら名演出だと思いました。脇を固める役者さんもまた良かったです。余貴美子の「おかしいと思いながら信用する」感情や、逆に能天気で「ニセ医者と告白されても信じない」研修生役・瑛太も上手かったですし、香川照之八千草薫の名演はいわずもがなだし、中村勘三郎に至ってはエキストラに毛の生えたような役でしたが(笑)、一級の存在感で魅せたのはさすがでした。これからも注目したい監督さんのひとりです。

 

🎬 マネーモンスター

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2016年 アメリ

監督:ジョディ・フォスター

出演:ジョージ・クルーニージュリア・ロバーツ、ジャック・オコンネル

【あらすじ】

リー・ゲイツジョージ・クルーニー)が司会を務め、その巧みな話術で株価予想や視聴者への助言を行う高視聴率財テク番組「マネーモンスター」。番組ディレクターのパティ(ジュリア・ロバーツ)の指示を聞かず、アドリブ全開でリーが生放送に臨む中、拳銃を手にした男カイル(ジャック・オコンネル)がスタジオに乱入してくる・・・

 

株市場の人気番組の司会を演じるジョージクルーニー。歳をとればとるほどかっこいいですね。そんな彼の情報を元に株市場に手を出した一般男性。しかしバグが原因で、株価は下落してしまう。それに怒り生放送中に銃を持ち番組をジャックされてしまう。
なぜ下落したのか?果たして本当にシステムのバグなのか?真実を追い求めるうちに実は意外な真実が明かされていく。という感じのストーリーでジュリア・ロバーツもいい感じの敏腕ディレクターで登場します。ウォール街武装された警官に囲まれながら歩くシーンは、ありえない感もありましたが、ジョディ・フォスターのファンなら監督作品として楽しめるスピード感のある作品になっていると思います。

 

🎬 僕だけがいない街

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2016年 ワーナーブラザース

監督:平川雄一朗 

出演:藤原竜也, 有村架純, 及川光博, 石田ゆり子, 杉本哲太 

【あらすじ】

売れない漫画家の藤沼悟の身に、何度も同じ時間が巻き戻る<リバイバル>という現象が起きるようになる。ある日、母を殺した犯人であると疑われた藤沼は、29歳の意識のまま10歳の身体に<リバイバル>する。そして、過去に起きた連続誘拐殺人事件と母親殺害事件の関連性に気付き…。

 

原作は読んでないので、比べられないのですが、時間軸の動かし方がちょっと理解しずらい作品でした。タイムスリップものはやはり「バックトゥザフューチャー」のようにデロリアンに乗ってその時代にワープするというのが見ていてわかりやすいし、過去をさわって現在を変えてしまうのは、見ていてちょっと自分にはあわないかぁというのが感想です。でも子役は上手いし、石田ゆり子はどうみても藤原竜也のお母さんには見えなかったです(笑)。やはり彼女は51歳には見えないですね。

🎬 夢売るふたり

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2012年 アスミックエース

監督:西川美和

出演:松たか子, 阿部サダヲ, 田中麗奈

【あらすじ】

東京の片隅で小料理店を営んでいた夫婦は、火事ですべてを失ってしまう。
夢を諦めきれないふたりは金が必要。再出発のため、彼らが始めたのは妻が計画し、夫が女を騙す結婚詐欺、 しかし嘘の繰り返しはやがて、女たちとの間に、夫婦の間に、さざ波を立て始める……

 

松たか子, 阿部サダヲに惹かれて拝見しましたが、お二人の演技力は存分に出ていて、男の弱さと女の弱さがありったけでていましたが、観た後、夫婦について考えさせられました。夫婦に災難が起きた時、一番大切なのは相手を思いやる事だと痛感させられた作品でした。この夫婦は、夢という幻に踊らされ、お互いを見ているようで、責め、違う方向を向き、最終的には自分すら失いかけます。妻を少しずつ見て見ぬふりしていく阿部サダヲの男の弱さの演技力は、素晴らしかったです。松たか子、夫が関わる女達に対しての複雑な気持ちと夫への怒りや悲しみのやり場のない気持ちが出ている演技力も痛いほど伝わりました。基本的に卑劣な犯罪映画なので高い評価を付けたくはありませんが、松たか子阿部サダヲにここまでやられてしまってはしょうがないかなっていう感じです。香川照之がちょい役で出演されていたのはこれまた驚きました。

 

🎬 パラサイト 半地下の家族

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2019年 韓国

監督:ポン・ジュノ

出演:ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク

【あらすじ】

“半地下"で暮らすキム一家と、
“高台の豪邸"で暮らすパク一家。相反する2つの家族が交差した先に、想像を遥かに超える衝撃の光景が広がっていく――。

 

この監督さんの作品は「スノー・ピアサー」についで2本目の鑑賞でした。というか韓国映画はこの2本しか観ていないんです。この映画は豪邸に住む富裕層と半地下の家に住む貧困層の格差について描いていますが、さらにその下にも貧困層がいるという、二段構えで描いているのがこの映画に惹きつけられていく魅力だと思います。社会の実態は貧困層の間にも格差が拡がっており、それは富裕層と貧困層の格差ほど見えやすくないのでしょうね。経済格差を深刻なものだという意識を持つ人でも、貧困層は単純に「貧困層」というグループとしか捉えていない人も多いのではないでしょうか。しかし、この映画は描くように見えている貧困層の下に、さらなる「見えない貧困層」がいると示しています。「スノー・ピアサー」もそうでしたが、この監督さんは実に見事にさらに下を描かれていると思います。奥の深い作品でした。アジアの作品でアカデミー作品、監督賞を受賞したのもうなづけます。

 

🎬 ある愛の詩

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1970年 パラマウント

監督:アーサー・ヒラー

音楽:フランシス・レイ

出演:アリ・マッグロー, ライアン・オニール

【あらすじ】

大富豪の御曹司・オリバーと菓子屋の娘・ジェニーは、身分の違いを乗り越え恋に落ちる。父からの援助よりも結婚を選んだオリバーは、彼女との新生活を始めるが…。

 

この作品はちびごりさんのレビューを拝見して、ネットフリックスの吹替版で鑑賞しました。1970年とういこで、私は小学2年生、大阪万国博覧会が開催された年に公開されたんですね。おそらくテレビ放送で観たように思うんですが全く記憶がございません。というので新鮮な感じで観ることができました。どうしてこの純愛作品が当時大ヒットしたのかを私なりに少し考えてみました。1970年というとアメリカはベトナム戦争の真っただ中、日本は70年安保闘争などをうけて三島由紀夫自決など学生運動が活発で社会は混とんとしていた時代です。そんな疲弊した社会背景の中このような純愛作品に人々は飢えていたような気がしてなりません。今の時代もコロナ禍の中で人々の疑心暗儀は深くこのような作品がまたヒットするような気がします。山口百恵ラストコンサートが昨日NHKで放送され大きな反響があったらしいです。百恵友和の吹替えでこの作品も1977年に放送されていたそうで、それも是非いまの混沌とした時代に再放送してほしいものです。

🎬 座頭市喧嘩太鼓

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1968年 大映

監督:三隅研次

出演:勝新太郎三田佳子佐藤允西村晃藤岡琢也ミヤコ蝶々

 

【あらすじ】

甲州路の石和宿で熊吉の下に草鞋を脱いだ座頭市は、渡世の義理により宇之吉という若い博徒を斬ってしまう。そこへ宇之吉の姉・お袖が帰って来て…。

 

今年初の勝新はやっぱり「座頭市」にしました。ヒロインは若かりし三田佳子、ちょっと大根芝居もありましたけどそれはお愛嬌で(笑)とにかく美しく、その物憂げな表情や憂いを含んだ気品ある麗しさに見惚れます。女優として煌めくような輝きを放つというような若き三田佳子を楽しめるのも特徴だと思います。この作品は市がボコボコにされて簀巻にされるも、そのままの状態でひょっこり起き上がって悪党蹴散らしたり、馬にしがみついて爆走して馬が止められなくて落馬、崖から落ちるなどいろいろコミカルが目立つ点が印象的でしたが、ちょっとやり過ぎ感もありましたね。しかし勝新の殺陣はいつみても絶品です。藤岡琢也ミヤコ蝶々西村晃の安定感も印象に残った作品でした。