2020年 スターサンズ
監督・脚本：大森立嗣
【あらすじ】
ゆきずりの男たちと関係を持つことで、その場しのぎの生活をおくる自堕落で奔放な女・秋子。しかし、彼女の幼い息子・周平には、そんな母親しか頼るものはなかった。やがて寄る辺ない社会の底辺で生き抜く、母と息子の間に“ある感情”が生まれる。そして、成長した周平が起こした“凄惨な事件”。彼が罪を犯してまで守りたかったものとは
今年の日本アカデミー賞で長澤まさみが最優秀主演女優賞をとった作品です。もうネットフリックスで配信されているのは驚きました。早速観てみましたが、これまでの長澤まさみと大きくちがった役柄で共感はできない作品でしたが、よくぞやったという演技は見事でした。それに絡む阿部サダヲ、この人は本当に上手いですね。夢売る二人の時もそうでしたけど、コミカルさが怖さに繋がって余計恐ろしい感じでハマってました。どうしようもない、男と女の間で育っていった子どもがこの作品の鍵です。お母さんが好き、お母さんは一人じゃ生きていけないから、と盲信している姿は美しくもあり目を覆いたくなるくらい醜悪です。まるで新興宗教の教祖のような演技を長澤まさみはみせています。全てを拒絶して世間から孤立していく親子、全てを振り払って残ったもの、それは究極の愛なのか、最大の悪なのでしょうか。愛情を疑わなかったことが一番の罪だとしたら、こんなに辛い悲劇はないです。問題を突き付けられたような一作でした。
